無借金経営はリスクが高い

●会社を設立し、経営していく上で無借金の経営を続ける、というのは…

一見すると非常に重要なことだと感じる人も多いと思います。 実際に、大企業になればなるほど無借金経営を行っているところを見てみると、「そうなんだ」と思う方もいるでしょう。 しかし、これはあくまでも資本金の量がとても豊富で、体力のある会社に当てはまることであって、中小企業や個人事業主では条件が異なってくることもあるんです。 もしも借金をしていない状態で経営を行っていたとしても、手元に現金がなくなってしまったら経営を続けるのは難しく、あっという間に破綻へと進んでしまう、というケースは実はそう珍しくありません。

業績が良い状態だと金融機関から融資を受けやすく、逆に業績が悪い状態だと金融機関は融資を行うことを渋る傾向にあります。 つまり、無借金経営を続けていたけれど、いざ資金が必要になってきて資金調達を行おうとしても、金融機関側から「NO」と言われてしまっては融資を受けることができずにそのまま破綻してしまう、ということになりかねないわけです。

どうしてこのような事態が引き起こされるのか、と言えば…

金融機関としても融資した分の金額はきちんと返済してほしいからです。 もしもあなたがお金を貸す立場にあるとしたらどうでしょうか。 普段お金に困っておらず、実際にすぐに利益を上げることができる人にお金を貸すのと、利益が上がらずにこれから立て直しを図っていこうという人のどちらに安心してお金を貸すことができますか？ このように考えると、金融機関が融資をする相手を選ぶのも当然のことだということが理解できるかと思います。

これらのことを総合して考えると、無借金経営を行う、というのは、いざ資金調達をしなくてはならない状態に陥ってしまった場合に融資を受けることができなくなるリスクが高いと判断できます。 そのため、企業はできるだけ業績が良い状態のときや、利益が上がっているときに運転資金として金融機関やノンバンクなどから融資を受けておくようにする、というのは生き残るために必要なテクニックの一つとも言えるわけです。 もしも無借金経営が良いとかたくなに信じて無理をしてでも融資を受けない経営を行っているのであれば、無理をすることなく最初から融資を受けて余裕のある経営を行っていった方が良いと考えることもできます。

これに加えて

金融機関との信頼関係を築いておく、というのも重要なファクターの一つ。 金融機関としては業績の良い企業に融資を行いたいと考えています。 返済のための利息で金融機関に利益が生まれるからです。 そこで、毎回きちんと返済をくりかえしておくことによって、企業と金融機関の信頼関係を築き上げていくと、いざ資金調達に困ったような場面になっても融資をしてもらえることも珍しくありません。 業績の良いときほど金融機関との取引を広げていって、将来的に資金の拡大が必要となるときや業績の悪化に備えておくようにするのは大切なテクニックです。